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 コラム「一休さんと一休み」

10. 「私は信じない」

よく、いろんな人から「こうゆう仕事をしていて幽霊とか見たことある?」と聞かれます。その時は私はきっぱりと「いいえ、一回も見たことがありません。」と答えます。そうゆうものを信じる、信じないは別にして、もし、私にいわゆる「霊感」などというものがあれば、その時点でこの仕事をやめるでしょう。だって、怖くて仕事にならないですよ。私は臆病なので、普段絶対ホラー映画とか稲川淳二の話は見ないようにしています。でも、葬儀屋の人でも見てしまう人もいるらしいです。真偽のほどはわかりませんが、私の葬儀屋の友人の話を一つ書かさせていただきます。

 前のコラムでも書きましたが、私達はご遺体を病院にお迎えにあがる時、普通は葬家から特別の依頼がある場合を除き、葬儀屋は病棟へは直接いかず霊安室にいきます。そしてまずは、そこに詰めている職員、または葬儀屋の指示に従います。

 夏の暑い時期だったそうです。

私の葬儀屋の友人は、葬家からご連絡をいただき、すぐに病院へと向いました。
その病院は会社から近く、夜中だということもあって、ご連絡をいただいてから10分ほどで到着しました。そして、その霊安室に詰めている人に指示を仰ぎました。すると、

「○○さん?(故人) 病棟からまだなんの連絡もきてないなぁ。まだ、処置中(ほとんどの病院では、なくなられてから体をきれいに拭いてくれます。)かもしれないから、ちょっとそこで待っててよ。」といわれました。

それから、一時間近く待ちましたが、病棟からは連絡がありません。詰めている人が「どうしたんだろうね。遅いねぇ。ちょっと連絡して見ますか。」と内線電話で病棟に連絡をしましたが、出ませんでした。「病棟が忙しいのかな? 行ったほうが早いから、私、直接見てきますよ。ちょっと そこで待っててください。」と言い残して霊安室から出ていってしまいました。
友人は一人霊安室に残されました。そのころ、友人の会社は連日忙しかったそうで、だいぶ疲れていた友人は、うっかりそこでうとうとと寝てしまいました。すると霊安室のドアを誰かがノックする音が聞こえました。寝ぼけた状態で、友人はそのドアの方を振り返ると、閉めてあったはずのドアが開いていて、そこにはぶかぶかのお祭りの半纏を着た小さな女の子が立っていました。友人は、不思議に思い「どうしたの?」と声をかけました。すると、その子は何も言わず、友人に深々と頭を下げにっこり笑うと、その場ですうっと消えてしまいました。友人は驚きましたが、体の疲れからかまたその場で寝てしまいました。

 「葬儀屋さん! 葬儀屋さん! 起きて下さい。よっぽど疲れてるんですね。早く病棟へ迎えに行ってください。お身内がお待ちですよ。」と詰めている人に言われて、あわてて友人は目を覚ましました。時計を見るとさっき病棟を見にいってもらってから15分しか経っていませんでした。「なんだ、変な夢をみたな。」と思いながら病棟へとむかいました。

 故人はおばあさんでした。地元ではとても人望の厚い方で、その葬儀には大勢の方が来られたそうです。その告別式の時、僧侶の読経が済み、これからお棺の中にお別れのお花を納めていただこうとするとき、故人の娘さんが友人に声をかけました。

「葬儀屋さん。すいませんが、お花を入れる前にこれを一緒に納めてもらえませんか」と。そして、お持ちになったものは、あの時、女の子が着ていたお祭りの半纏だったのです。

「おばあちゃんは、小さいころからお祭りが大好きでねぇ。お祭りになるとこれを着てたんですよ。今年ももうすぐお祭りでしょ。楽しみにしてたんですよ。だから、むこうでも楽しめるようにこれを納めましょ。いいですか、葬儀屋さん」

 友人はビックリして声を出せませんでしたが、大きく何度もうなずきました。不思議な話です。または、うまくできた話です。


金子直裕
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